海辺の町に水族館は数多あれど、ここまでフレンドリーな水族館ははじめてだ……

 海獣たちと触れ合えすぎる二見シーパラダイス 

こちらの記事のつづき

もう、めちゃ再訪なんですが、我が家のお気に入り。

二見シーパラダイスは、はっきり言ってしまうと寂れた水族館である。少し足をのばせばそう遠くない場所に人気スポット「鳥羽水族館」もある。イルカのショーもないし、ジュゴンもいない。だけどね、海獣たちと異常な急接近が体験できるし、だいたいおさわりOK。なんか、お高くとまってない。こういっちゃなんだけど海獣全然尻軽。

天びんや

親としては必死の形相。娘によりいい場所でショーを見せてあげたい、海獣をさわらせてあげたいと駆けずり回った結果、写真を撮るのを忘れるし、娘は必殺イヤイヤ期を発動。あげく雑なレポートに。

お散歩ペンギンはイヤイヤ、コワイコワイ。いつもだっこしているぬいぐるみサイズのペンギンでこの怖がりようなのだから、ちょっとしたアルトワークスくらいはありそうなセイウチに対しては当然半べそ。ひえぇぇぇぇイヤイヤ!!

アシカのショーはかぶりつきで観たものの、眉間にしわを寄せ「モグラ……?」と。

二見シーパラダイス


いわれてみれば、茶色い毛とぬるっとしたフォルムが似ているのかも知れない。絵本と図鑑でしか見たことがなければ縮尺もわからないだろうし、私もモグラの現物は見たことがないし。

ご挨拶にとアシカが近づいて来れば「イヤー!ママダッコー!」
かろうじて、イルカのヒレだけはそっと触れられた。

二見シーパラダイス

そんなこんなで、娘にとって楽しかったのかどうなのかわからないが、貴重な体験をさせてやることはできた。これがなにかしらの情操教育に役立ってくれれば、と良き母親っぽいことをテキトーに綴っておく。

二見シーパラダイス
あまり写真を撮らなかったので前回の分だが、手づくり感あふれる温かなアシカのショー

二見シーパラダイス
体を張って観客を楽しませようとしてくれるステージ。前回は男子スタッフが女装。今回はうら若き女子スタッフ渾身の女子高生コスプレでのダンスだった。

二見シーパラダイス
展示してある魚の調理例の話すな

二見シーパラダイス
手の込んだ調理例の話すな

急きょ用意しましたっぽい授乳室やおむつ替えスペースも順路途中に唐突に完備されているし、コンパクトサイズの館内は10キログラムのエネルギッシュな塊を抱えながらの散策もさして苦にならない。実に幼児連れの旅行にふさわしい場所、これが二見シーパラダイスだ。

二見シーパラダイス
ラブホか

水族館を出て土産物街を通過すると、夫婦岩にも行ける。この土産物街がまた、なんか失われつつある「昭和」の香りが残る、ゆるくていいカンジのスポットなのでぶらぶらするのも良いでしょう。伊勢神宮を歩き疲れ、若干震えのきている私の太ももにはきついのでスルーします。 そんなことよりお腹減った。


 伊勢の名物や新鮮魚介をちょっとずつ色々堪能したいなら「天びんや」 


宿泊はエクシブ鳥羽アネックス、なんだけれど。子連れな上に清貧生活な我々にとって……

いや待て、子ども増えただけでなんで清貧という言葉がこんなに悲壮感漂うかんじで聞こえるの……。しかし事実だ。やむなし。

そんな我が家だから、うん、エクシブ内の高級な?使ったことないから想像でしかないけど、たぶんお上品でハイソなご一家が、子ども半ズボンに白いタイツとか履きがちなタイプのご一家が、おちょぼ口でついばむ系のレストランでしょ。うん超無理。

で、こんなこといったらアレだけど、ほら、鳥羽って駅前にすら何もないじゃん。だから事前にしっかり個室を予約して、伊勢の味覚を満喫してきた。

天びんや
エビフライがデカいし身がギュっとつまってる

天びんや
さめのたれ 前回の鯨に引き続きましてついに鮫も食べてしまった。味は干したカワハギみたい。残すはイルカだな。

天びんや

天びんや

天びんや

天びんや
A4の松阪さん

天びんや
月の後半を前にしてこんな豪遊。残りのもう半分ちょっとは食事もやし率高め覚悟。

 こうして1日目のスケジュールはつつがなくクリアー。新鮮な魚介とうまい酒で大満足の一家。しかし、私の本当の目的は2日目にあるのだ。

 今回の伊勢旅行の知られざる目的とは 

「子どもを連れてGOGO!~春の三重ほのぼの家族旅行~」的な空気が漂う今回の旅行。子どもの喜ぶ顔が一番のみどころ!であるのは確かだが、そうはいっても何かしらの「自分らしさ」をプラスしたいのが人情である。

わが子が1歳になるまでの間は、「子の健やかな生存第一優先!」「自分は二の次三の次!」「欲しがりません1歳までは!」をスローガンに日々不眠不休で己のお子様のお顔色をお窺いし続ける毎日だった。

しかし、早いもので娘も1歳半となり、乳も離れ、己の力で立ち、歩き、走り回り、不快や要求は言葉で訴え、時にはテーブルの上の菓子パンやミカンなどを勝手に食べるまでに育った。

正座でテレビを見ている娘の足元に、キレイに剥かれたミカンの皮が転がっているのを発見したとき、私は確信した。あ、大丈夫だな。この子、生きれるな。

そこでいよいよ頭をもたげてくるのが「自分らしさ」である。妊娠出産する前の私ってどんな人だったっけ?症候群だ。

思い起こせば、徹夜明けのタバコくさい頭を掻きむしりながら原因不明のデータ消滅や背中に感じる謎の重量感と闘いながらタイの幽霊「ピー」についての文献を半泣きでまとめていたり、南アフリカの呪術業界に伝わる詳細なゾンビの作り方の資料を集めたりするだけのカンタンなお仕事~に没頭……あ、思ったほどたいしたことしてないな……

していた頃からは想像もできないくらい、私、ママしてた……自然派にこだわったり、しまパトで親子ーデに挑戦したりもした。でも、でも……

オーガニックやマクロビより、ココナッツオイルより……駄菓子屋に置いてある、原料・添加物。以上!!みたいな食べ物が好き。

水曜日のなんたらかんたらより、温泉地の寂れたお土産屋さんが好き。なにランドよりなにシーより、なんFJより、ふつーに「どうしてこれを作ろうと思った?」的な珍妙スポットが大好き。

と、いうわけでございまして、以後、B級偏愛主婦の暗躍によって、のほほん家族旅行が一転、「……!?」な空気漂う時代錯誤ツアーになった記録を淡々と綴る。

「【鳥羽】子どもきょとーん!怪しいすべり台がある市民の森公園」へつづく